本日、7月4日の産経新聞、関西版 夕刊9面に
桂福若さんの記事が大きく掲載されています
「憲法前文は名文でっか?」
「迷う文と書いて迷文や。日本人の精神が伝わってけえへん」
桂福若さん、創作落語で憲法改正
「考えるきっかけに」
http://www.sankei.com/west/news/150704/wst1507040028-n3.htm
(1/3ページ)
創作落語「憲法改正落語」の上演を続ける落語家の桂福若さん=6月15日午後、大阪市浪速区(中村雅和撮影)
日本国憲法をネタにした異例の「憲法改正落語」に取り組んでいる落語家がいる。上方落語の名人、四代目桂10+ 件福團治(ふくだんじ)さんの長男、福若10+ 件さん(46)。憲法の前文を「中身のないきれい事」と指摘し、日本の国柄にふさわしい憲法を、と軽妙な語り口で訴える。高座では“タブー”に等しい話題。「政治に口を出すな」という批判にも、「祖国を愛する者として当然の主張だ」と意に介さない。自称「落語界の風雲児」の挑戦は続く。(中村雅和)
「きれい事だらけ」
「ご隠居はん、娘が学校で憲法の前文は名文と習っとるみたいですが、ホンマでっか?」
「これは迷う文と書いて迷文や。前文は上辺だけで中身のないきれい事だらけの文章や。日本人としての精神が全く伝わってけえへん」
憲法改正落語は、主人公と改憲論者の「ご隠居」の掛け合いを通して、福若10+ 件さんの憲法観を披露していくスタイルだ。
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した-。この憲法前文をご隠居がばっさりと切り捨てていく。
「日本の顔をしてへん。日本の周辺諸国を見渡して、平和を愛する諸国民などどこにおる」「戦争反対を唱えるだけじゃなく、強い軍事力で国を守って初めて平和が訪れる」
“自虐教育”に反発
大阪市住吉区で生まれ、子供のころから歴史小説を愛読。歴史好きに拍車がかかったのは、中学生のときに歴史の授業で紹介された旧日本軍の乃木希典(まれすけ)陸軍大将のエピソードだ。
日露戦争の旅順要塞(ようさい)攻防戦。降伏したロシア側司令官ステッセルとの面会時に帯刀を許し、敗軍の将の名誉を重んじたとして世界中から称賛を受けた「水師営の会見」に感動した。「日本人は素晴らしい。こんな人間になりたい」と。
しかし、進学した府立高校は「日本人は残虐行為を繰り返した」などと“自虐教育”一色だった。教師への反発心で学校から足が遠のき、高校を中退。荒れた生活を見かねた両親に入所させられた更生施設で、同年代の少年と共同生活を送っているとき、元日本軍人の職員と出会った。
「先の大戦は植民地だったアジアの解放のため、日本が植民地にならないために戦った。決して侵略のために戦ってはいない」「戦前の日本人は小さな体格だったが、大きな体格の米英人に精神力、根性では勝っていた」
歴史の生き証人の話を聞き、「日本人、日本の国柄とは何か」と深く考えるようになったという。
仕事激減、転機は…
18歳だった昭和62年、父に入門、落語家修業を始めた。平成4年ごろから一門会で高座に上がったが、順風満帆ではなかった。
約10年前、仏教系大宗派の寺院関係者から依頼された寄席の後に行われた懇親会。憲法についての意見を求められ、「日本人の伝統的な生き方を否定している。認められない」と言うと空気が変わり、二度と寄席に呼ばれなくなった。「当時の世間のムードは今以上にリベラル一色。落語の世界も同じだった」。後援者からの悪評に加え、同業者にも陰口をたたかれた。仕事が激減し、生活は楽ではなかった。
転機は25年、日常生活のトラブルをネタにしようと法律や裁判の勉強を始めたこと。「小難しい理屈でなく、単純な面白さが上方落語の特徴。法律をいかに分かりやすいネタに仕上げるかが腕の見せ所」と専門的な勉強を続ける中でたどりついたのが憲法だった。26年7月、「変だと思っていた」という護憲派が信奉する9条や前文をテーマにした憲法改正落語を完成させた。今、全国各地の高座で披露している。
「国柄にふさわしい憲法を」
折しも中国の軍拡などわが国を取り巻く国際環境の変化で、国会では集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案が審議中。憲法改正にも焦点が当たりつつある。
福若さんは「憲法を考えるきっかけになってもらえれば」と話す一方、この落語が必要でなくなる日がきてほしいとも願う。
「歴史や伝統にのっとった国柄にふさわしい憲法が取り戻されれば自分の落語の役割は終わる。一日も早くその日が訪れてほしい」
◇
上演情報などの問い合わせは個人事務所(電)080・5316・3198。
桂福若さんの記事が大きく掲載されています
「憲法前文は名文でっか?」
「迷う文と書いて迷文や。日本人の精神が伝わってけえへん」
桂福若さん、創作落語で憲法改正
「考えるきっかけに」
http://www.sankei.com/west/news/150704/wst1507040028-n3.htm
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創作落語「憲法改正落語」の上演を続ける落語家の桂福若さん=6月15日午後、大阪市浪速区(中村雅和撮影)
日本国憲法をネタにした異例の「憲法改正落語」に取り組んでいる落語家がいる。上方落語の名人、四代目桂10+ 件福團治(ふくだんじ)さんの長男、福若10+ 件さん(46)。憲法の前文を「中身のないきれい事」と指摘し、日本の国柄にふさわしい憲法を、と軽妙な語り口で訴える。高座では“タブー”に等しい話題。「政治に口を出すな」という批判にも、「祖国を愛する者として当然の主張だ」と意に介さない。自称「落語界の風雲児」の挑戦は続く。(中村雅和)
「きれい事だらけ」
「ご隠居はん、娘が学校で憲法の前文は名文と習っとるみたいですが、ホンマでっか?」
「これは迷う文と書いて迷文や。前文は上辺だけで中身のないきれい事だらけの文章や。日本人としての精神が全く伝わってけえへん」
憲法改正落語は、主人公と改憲論者の「ご隠居」の掛け合いを通して、福若10+ 件さんの憲法観を披露していくスタイルだ。
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した-。この憲法前文をご隠居がばっさりと切り捨てていく。
「日本の顔をしてへん。日本の周辺諸国を見渡して、平和を愛する諸国民などどこにおる」「戦争反対を唱えるだけじゃなく、強い軍事力で国を守って初めて平和が訪れる」
“自虐教育”に反発
大阪市住吉区で生まれ、子供のころから歴史小説を愛読。歴史好きに拍車がかかったのは、中学生のときに歴史の授業で紹介された旧日本軍の乃木希典(まれすけ)陸軍大将のエピソードだ。
日露戦争の旅順要塞(ようさい)攻防戦。降伏したロシア側司令官ステッセルとの面会時に帯刀を許し、敗軍の将の名誉を重んじたとして世界中から称賛を受けた「水師営の会見」に感動した。「日本人は素晴らしい。こんな人間になりたい」と。
しかし、進学した府立高校は「日本人は残虐行為を繰り返した」などと“自虐教育”一色だった。教師への反発心で学校から足が遠のき、高校を中退。荒れた生活を見かねた両親に入所させられた更生施設で、同年代の少年と共同生活を送っているとき、元日本軍人の職員と出会った。
「先の大戦は植民地だったアジアの解放のため、日本が植民地にならないために戦った。決して侵略のために戦ってはいない」「戦前の日本人は小さな体格だったが、大きな体格の米英人に精神力、根性では勝っていた」
歴史の生き証人の話を聞き、「日本人、日本の国柄とは何か」と深く考えるようになったという。
仕事激減、転機は…
18歳だった昭和62年、父に入門、落語家修業を始めた。平成4年ごろから一門会で高座に上がったが、順風満帆ではなかった。
約10年前、仏教系大宗派の寺院関係者から依頼された寄席の後に行われた懇親会。憲法についての意見を求められ、「日本人の伝統的な生き方を否定している。認められない」と言うと空気が変わり、二度と寄席に呼ばれなくなった。「当時の世間のムードは今以上にリベラル一色。落語の世界も同じだった」。後援者からの悪評に加え、同業者にも陰口をたたかれた。仕事が激減し、生活は楽ではなかった。
転機は25年、日常生活のトラブルをネタにしようと法律や裁判の勉強を始めたこと。「小難しい理屈でなく、単純な面白さが上方落語の特徴。法律をいかに分かりやすいネタに仕上げるかが腕の見せ所」と専門的な勉強を続ける中でたどりついたのが憲法だった。26年7月、「変だと思っていた」という護憲派が信奉する9条や前文をテーマにした憲法改正落語を完成させた。今、全国各地の高座で披露している。
「国柄にふさわしい憲法を」
折しも中国の軍拡などわが国を取り巻く国際環境の変化で、国会では集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案が審議中。憲法改正にも焦点が当たりつつある。
福若さんは「憲法を考えるきっかけになってもらえれば」と話す一方、この落語が必要でなくなる日がきてほしいとも願う。
「歴史や伝統にのっとった国柄にふさわしい憲法が取り戻されれば自分の落語の役割は終わる。一日も早くその日が訪れてほしい」
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上演情報などの問い合わせは個人事務所(電)080・5316・3198。