西村眞悟先生の時事通信より 拉致問題 「日朝平壌宣言」こそ、最大の欺瞞文書
中曽ちづ子です。拉致問題について、西村眞悟先生の言葉が
素晴らしく正論なので、転載させていただきます
調査委員長が出てきたら「誠意」か
平成26年10月29日(水)
外務省の局長を団長とする政府訪問団は、北朝鮮の誰と会うことになるのか分からないまま、
総理や官房長官の、「北朝鮮との関係が切れたらいけない」、「関係をつなぎとめておきたい」との願いを背負って北朝鮮の平壌空港に降り立った。
これっきりはいやよと、すがりついたようなものだ。
しかし、どこで誰と会うことになるか、まだ分からない。
心細そうに、辺鄙な空港のがらんとしたホールに、所在なげな姿で伊原局長らが、ぼそぼそと集まっている映像がテレビに映されていた。
すると、28日、訪問団の前に出てきて挨拶をしたのが、今まで姿を見せたこともない秘密警察の高官であり五月に北朝鮮がストックホルムで設置を約束した「特別調査委員会」の軍服を着たソデハ(徐大河)委員長と拉致被害者、行方不明者、遺骨そして日本人妻という四分野の担当者であった。
そして、徐大河委員長は、伊原局長らに挨拶した。
「あなた方の訪問に対して、日本でいろいろ食い違った主張が提起されていると承知している」
「あなた方の訪問は、政府間の合意を履行しようとする日本政府の意思の表れであり、正しい選択だ」
これに対して、日本側は、今まで姿を現したことのない秘密警察の高官らが対応したことを、
北朝鮮の「誠意」と受けとめたらしい。
ここで二つのことが分かる。
一つは、北朝鮮は、日本から金が出ることを熱望しているということだ。従って、北朝鮮は、日本政府が政府間の合意を履行するかどうかに関する日本国内の意見を注視し、一喜一憂している。
もう一つは、日本側は、北朝鮮の対応をすぐに「誠意」の表れと受けとめたがる、ということだ。
よって、ここから二つの可能性が広がる。
それは、日本側の姿勢次第で、全拉致被害者が解放される道が開ける可能性と共に、
日本側が北朝鮮の「誠意」に騙されて大半の拉致被害者が見捨てられる可能性である。
しかし、そもそも、本年五月、北朝鮮はストックホルムで、拉致被害者らの特別調査委員会を設置して日本にその調査結果を報告すると約束したのだ。
そして、日本政府は、その約束(口先)の「誠意」に応えるに三分野の制裁解除(行動)を以てした。
ところが、約束から四ヶ月後の九月二十九日になって、
約束したソンイルホ(宋日昊)は、初期段階を超えた調査報告はできないと、わざわざ瀋陽に日本の伊原局長を呼びつけて通告し、番外で「死んだ者を生き返らすことはできない」と言い放った。
そして、僕は知らないから、もっと知りたければ平壌に来て下さいとなってこの度の伊原局長らの平壌訪問になったのだ。
従って、平壌では、「知っている」のは調査している調査委員会なのだから、その委員長が出てくるのが当然で当たり前ではないか。北朝鮮が「誠意」を示したことではない。
従って、伊原局長らは、北朝鮮側の「誠意」を感じるのではなく、北朝鮮の「奸計」に最大の注意を払いながら、遺骨一体につき○百万円支払えとか墓参団を○百万円で受け入れるとかの「骨・墓ビジネス」の「誠意」は一切無視して、
ただ全拉致被害者を帰せ、
帰さねば北朝鮮経済と独裁体制は崩壊するぞ、と、
背広を着た兵士の如く奮闘して欲しい。
とはいえ、この要求は、今までの伊原氏の対ソンイルホ交渉を顧みれば、ソンよりさらに堅気でない秘密警察のソデハに対しては無理なことだと思うのだが。
そこで、この際、原点に戻らねばならない。
原点は、拉致はテロであり、拉致被害者救出は、外交交渉ではなく、テロとの戦闘、これである。
従って、外交交渉、つまり、北朝鮮との国交樹立交渉としての外務省を主体とする、
平成十四年九月の小泉総理訪朝以来の交渉を一旦打ち切るべきである。
そして、七月四日に解除した三分野の制裁措置を再び甦らせてさらに厳しい制裁を北朝鮮に課す。
その上で、警察、公安を主体とした全日本の総力を結集した救出部隊および交渉団を編成して、
北朝鮮に拉致被害者を解放しなければ、北朝鮮の経済と独裁体制が崩壊すると知らしめなければならない。
日本の総力を結集し、世界的な圧力を拉致被害者解放に集中すればこれは可能である。
前後するが、
徐大河(ソデハ)の挨拶で、何故、北朝鮮は日本から金が出ることを熱望していることが分かるのか。
それは、秘密警察高官が姿を晒して
「日本が政府間の合意を履行しようとしているのは正しい選択だ」と言っており、
日本政府が国内に「いろいろ食い違った主張がある」なかでその選択をしたことを評価しているからである。
そこで、言っておきたい。徐大河の言う「政府間の合意」とは何か。
それは、平成十四年九月十七日の、
小泉純一郎総理と金正日国防委員会委員長の交わした「日朝平壌宣言」である。
この「日朝平壌宣言」こそ、最大の欺瞞文書なのだ!
この文書は、拉致被害者解放のための文書ではなく、
日本が北朝鮮に巨額の金(一兆円超)の金を支払って北朝鮮との国交を樹立する約束をした文書である。
他方、そのかなかで、北朝鮮が我が国に約束したこと、
即ち、核実験はしない、ミサイルは発射を見送る、は既に総て破られている。
従って、現在のこの文書は、
北朝鮮が、自分の約束は総て破った上で、
日本にだけ金を払う約束を守って金を払えと要求するとてつもないグロテスクな文書と化している代物である。
しかるに外務省は、このことを承知の上で、
本年五月のストックホルムでも、北朝鮮に対して、
我が国だけが、この「日朝平壌宣言」に則って行動することを約束しているのである。
これ、外務省の国民に対する裏切りではないか。
従って、この路線から抜け出せない外務省を交渉担当から外さなければ、
拉致被害者の救出は為しえないのだ。
しかも、この日朝平壌宣言は、北朝鮮が拉致を認める「誠意」を示したうえで、
小泉総理らを
「拉致被害者は五人は生存しているが、八人は死亡した」
と騙して署名させた文書である。
その時に、官房副長官としてその場に立ち会っていた安倍総理、
この日本国民同胞の命が懸かった緊急課題において、
再び、同じ相手に騙されては、断じてなりませんぞ。
*********************************************
元凶は「日朝平壌宣言」である
平成26年10月31日(金)
外務省の伊原アジア大洋州局長を団長とする政府代表団が、昨日、東京に帰ってきて深刻ぶってそのまま官邸に入り込み、何やら話していたが、昨夜、総理が記者会見し、本日朝、訪問の内容がほぼ明らかになった。
私は、十月二十九日正午現在で、訪朝の結果を本時事通信を書き込み、同日、泉州日々新聞に論説文を送った。
そして本日三十一日朝、二十九日に書いた内容を変更する必要をいささかも感じない。
彼らは、北朝鮮から、拉致問題に関しては何の情報も伝えられず、案の定、骨と墓参ビジネスをふっかけられてきた。
伊原局長は、北朝鮮側に「拉致問題が最重要課題だということを明確に伝えた」と安倍総理に報告し、
安倍総理は、公邸で、オウム返しに次の二点を記者団に語った。
「拉致問題が最重要課題だと言うことを改めて明確に北朝鮮側に伝えた」
「北朝鮮側から過去の調査結果にこだわらず、新しい角度からくまなく調査を深めていくとの方針が示された」
そこで言う。
この訪朝団、馬鹿か、こいつら、と。
また、安倍総理にも言う。
官邸で、この訪朝団を、叱責、しかりつけたのか、と。
総理が、この訪朝団を叱責したと北朝鮮に伝わることが、
この度の訪朝のせめてもの効果であり、相手から見くびられない方策でもある。
拉致問題が我が国の最重要課題であることは、北朝鮮は十分過ぎるくらい知っている!
だから、北朝鮮は、拉致問題をちらつかせて、
我が国から、国家予算の十倍の金を流し込もうとしているのではないか!
これが分からんのか。
だから、伊原局長が、平壌で為すべきことは次のことであった。
会談冒頭に、相手に「拉致問題に関する調査を報告されたい」と切り出す。
相手が、「拉致問題の報告はない。一体金何円で骨を渡す、墓参は認める・・・」と話し始めるや。
直ちに席を立って、「では、平壌にいる必要はない。直ちに帰る」
この断固たる態度を示してきてこそ、我が国の政府代表団ではないか。
何故なら、訪朝団の任務は、伊原氏が総理に報告したように、
北朝鮮に「拉致問題が最重要課題である」と伝えることであったからである。
それを、伊原団長よ、こそこそ帰ってくるな。
断固として席を立って、胸をはって帰ってくるべきだった。
とはいえ、役人である彼らだけを叱責することはできない。
元凶は、戦後の我が国の政治にある。
即ち、戦後政治から生み出された平成十四年九月十七日の「日朝平壌宣言」こそが元凶なのだ。
その日、我が国の小泉純一郎総理と北朝鮮の金正日国防委員会委員長は、
協働して日本国民と拉致被害者家族を騙した。
もっと具体的に言えば、我が国の外務省が総理大臣を煽て上げて日本国民を騙したのだ。
本通信末尾に、「日朝平壌宣言」を添付するのでじっくりと目を通して欲しい。
これが、期待を一身に背負って拉致被害者救出を目的にして平壌に行った小泉総理が北朝鮮と交わした約束である。
この「宣言」の主目的は、
「日本が北朝鮮に金を渡す日朝の国交樹立」である。
この目的は、拉致被害者救出ではない。その証拠に、拉致の「ら」の字は何処にもないではないか。
しかも、この「宣言」で、北朝鮮が我が国に約束した三つのこと、
「日本国民の生命と安全に関する懸案問題」に関し「適切な措置をとる」こと。
「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、国際的合意を尊重する」こと。
「ミサイルの発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長してゆく」こと。
これらを全て北朝鮮は自ら破っているのだ。
しかるに、この北朝鮮が既に全ての約束を破っている「日朝平壌宣言」を、
外務省は、本年五月のストックホルムにおいても、日本側の基本的方針として冒頭に掲げて北朝鮮と合意している。
従って、この度の北朝鮮の態度は、このストックホルム合意、つまり「日朝平壌宣言」に則った態度と言わざるをえない。従って、北朝鮮は、飛んで火にいる夏の虫を相手にするように、我が国から金を引くビジネスを持ちかけてきたのだ。
なんたることであろうか!
この宣言を掲げる限り、拉致被害者救出の願いははぐらかされ続ける。
しかし、事ここに至っても、外務省は「日朝平壌宣言」から離れることはできない。
何故なら、この宣言は、外務省が作成し時の総理大臣に署名させた宣言であるからだ。
この宣言から離れる決断は総理大臣にしかできない。
よって、総理大臣は、外務省主導の「日朝平壌宣言」に則った今までの偽りの「拉致被害者救出ルート」をいったん切断して、
新たな交渉団即ち救出団による交渉に切り替えるべきである。
ところで、我が国が廃棄すべき自虐史観に染まった文書はおよび宣言そして談話は、
河野洋平官房長官談話や村山富市総理談人談話だけではないのである。
「日朝平壌宣言」こそ、村山や河野談話と共に破棄すべきである。
幸いにも、相手の北朝鮮は全ての約束を破ってくれているではないか。
日朝平壌宣言を支える精神は、次のように書かれている。
「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」
これが、北朝鮮に拉致されて「多大の損害と苦痛」を現に与え続けられている多くの拉致被疑者と家族の痛切な願いを背負って北朝鮮に赴いた我が国の小泉総理大臣が、北朝鮮で示した「気持ち」である!
ここに、同胞が現に味わっている苦痛に対する「気持ち」の片鱗もない!
なお、昭和四十年(一九六五年)六月二十二日に署名された「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」には、この平壌共同宣言の如き屈辱的な文言はこれっぽっちもない。
日朝平壌宣言
平成14年9月17日
小泉純一郎日本国総理大臣と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長は、2002年9月17日、平壌で出会い会談を行った。
両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。
1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。
2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。
双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。
3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。
4.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。
双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。
双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。
朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。
双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。
*********************************************
日韓条約と日朝平壌宣言の相違点と共通点そして日本外交の退廃
平成26年11月1日(土)
昨日、
昭和四十年(一九六五年)六月二十二日の日韓条約(日本国と大韓民国との間の基本奸計に関する条約)と、平成十四年(二〇〇二年)九月十四日の日朝平壌宣言との違いに触れた。
その違いは、
日朝平壌宣言が、村山富市談話と同様の、北朝鮮に対する「反省と心からのお詫び」を前提にして組み立てられているのに対し、日韓条約には、そのような自虐史観の前提は一切ないということである。
しかし、この二つの文書には、北朝鮮と韓国を同様に扱うことが当然のこととされている分野がある。
それは日本からの、無償資金協力、人道支援等の経済協力である。
そこで、これは重要なことと思うので、
日韓条約と日朝平壌宣言の違う箇所と同じ箇所を点検しておきたい。
日韓条約は冒頭で次の通りの基本認識を示す。
「日本国および大韓民国は、両国民間の関係の歴史的背景と、善隣関係および主権の相互尊重の原則に基づく両国間の県警の正常化に対する相互の希望とを考慮し、両国の相互の福祉および共通の利益の増進のため並びに国際の平和および安全の維持のために、両国が国際連合憲章の原則に適合して緊密に協力することが重要であることを認め」
日朝平壌宣言の基本認識は次の通り。
「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」
では、この両者の違いは、何を意味し何を明らかにしているのか。
この違いは、昭和四十年から平成十四年までの三十七年間に、
我が国の国家意識と外交が、如何に、劣化し、脆弱になったかを、余すことなく示している。
日本外交の劣化、まさに目を覆うばかりである。
日本人なら、無念と思う。
しかし、日本の外務省と外務官僚は無念とも思はずに、
未だこの自虐的精神を当然のものとして、北朝鮮との交渉に当たっている。
次ぎに、日韓条約と共に締結された「韓国との請求権・経済協力協定」と日朝平壌宣言は、
共に、我が国からの無償資金供与や人道支援と経済援助と請求権放棄を定めている。
では、この一致は何を意味しているのか。
これは、この三十七年間に、我が国が国家戦略を喪失したことを示している。
日韓国交回復時の東アジアの情勢の中で、韓国は北緯三十八度線を以て、北のソビエトと中共という共産勢力と軍事的に対峙し、我が国から見て共産制勢力に対する「壁」となっていた。
従って、日韓の国交樹立は東アジアの自由主義勢力の安定にとって必要であり、
北の「壁」となっている韓国を我が国が援助することも、
我が国のみならず東アジアの安定に資することであった。
しかるに、日朝平壌宣言時の東アジア情勢は如何なるものであるか。
北朝鮮は、東アジアの危険な「テロ支援国家」にして共産党の軍事独裁国家であり、
世界の懸念を無視して核爆弾と核弾頭ミサイルの開発を続けて「東京を火の海にする」と我が国を恫喝する国家である。
ところが、我が国外交は、まさにこの北朝鮮に、韓国と同じ援助を開始することを当然としたのである。
では、我が国の援助は何のために使われるのか。
韓国では、周知の通り、経済発展の原資となって韓国国民の所得増大に結びついていった。
しかし、北朝鮮では、人民の福祉向上とは無関係の核開発とミサイル開発の資金となって最も危険な核軍事独裁大国を誕生させる。
つまり、北朝鮮への資金援助は、援助国である日本を「世界最大のテロ支援国家」とし、
我が国が人類史上最悪の危険国家を生み出す結果を招来するのである。
この区別がつかずに、北朝鮮に大規模援助を開始しようとした日朝平壌宣言は、
我が国の国家戦略の喪失と、政治と外交の無責任性と退廃を示してあまりある。
幸い、在野の我らが、北朝鮮の言う小泉総理一行が信じ込んだ「五人生存、八名死亡」の「八名死亡」をウソだと見破ったので、
九月十七日に署名された宣言で約束されていた「2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開する」という、北朝鮮にせっつかれた資金提供のプロセスをストップさせ凍結させたから、
巨額の核とミサイルの開発資金は我が国から北朝鮮に動くことはなかった。
つまり、小泉総理と外務省は、北朝鮮に騙されて日朝平壌宣言に署名したのである。
そして、その騙しが判明したので平壌宣言はストップした。
よって明らかなように、実は、この小泉訪朝の時に、
東アジアと我が国にとって、最大の危機が訪れていたのだ。
しかるに、外務省は、未だ自分達が騙されたことを認めようともせず、
この度の五月のストックホルムから始まった交渉においても、日朝平壌宣言に則って進めようとしている。
即ち、外務省は、北朝鮮がヨダレを垂らして待つ巨額の金を支払うプロセスを歩もうとしている。
無能、国家国民に対する背信、ここに極まれり。
まことに、日朝平壌宣言こそは、
署名した総理大臣の、軽薄と無責任に裏打ちされた有害極まる功名心、
自虐史観に染まって国益を見失った外務省の退廃、
を示す我が国の屈辱の歴史的文書である。
↧
西村眞悟先生の時事通信より 拉致問題 「日朝平壌宣言」こそ、最大の欺瞞文書
↧