保養所となった東多田夢勝庵の主屋=川西市東多田2(同市教育委員会提供)
山荘風の外観が目を引く栗原家住宅の主屋=宝塚市雲雀丘1(同市教育委員会提供)
国の文化審議会が国登録有形文化財とするよう答申した建築物に、兵庫県阪神地域からは川西市の8件、宝塚市から5件の計13件が選ばれた。最多6件が対象となった東多田夢勝庵(川西市東多田2)は江戸後期の旧庄屋宅。大正から昭和前期の近代住宅も数多く選ばれた。
東多田夢勝庵は庄屋屋敷の伝統的な構成を伝える大型民家。土間や座敷を備える主屋は現在、民間会社の保養所として活用される。2階建ての土蔵、L字形の長屋門、裏門など周囲の建物も登録対象となった。
川西市ではほかに、科学者平賀義美の自邸(下財町)にある大正期の洋風東屋と、清和源氏発祥の地とされる多田神社(多田院多田所町)で昭和初期に建てられた宝物殿も選ばれた。
宝塚市では、昭和前期に阪急雲雀丘花屋敷駅北側の住宅地に建てられた住宅2カ所が答申に入った。
栗原家住宅(雲雀丘1)の主屋は、欧州の山荘のような独創的な外観が特徴。日下家住宅(切畑)は表門など4棟が対象に。主屋はガラス張りの温室を備え、外観は洋風、内部は和洋折衷のデザインで「当時の都市中間層の暮らしを伝える」(文化庁)とされた。(伊丹昭史、中島摩子)